明見院にお祀りされている仏様について
不動明王
本尊・木造
明見院のご本尊様。
お不動様は、忿怒の形にして、右手に剣、左手に羂索(けんさく)を執り、瑟々座(しつしつざ)に座した仏様です。
恐ろしいお顔は、何ものも恐れず、我々を救って下さる気持ちの表れで、優しい心と慈悲の心を持っておられます。剣は悪を破る力を示し、羂索は悩む人を引き寄せる力を表しております。私たちが苦しむ原因である悪因縁を剣で断ち切り、羂索(縄)で正しい方向へと引き寄せて下さる存在です。
また、お不動様は「カルラ鳥」と言う火の鳥を背中に纏い、自らその炎に堪えながらも微動もなさらずに衆生のあらゆる煩悩を焼き尽くして下さっています。
インドではお不動様を、「山」を意味する「アチャラ」と言い、山のように動かない、少しのことでは微動もなさらないことを表しております。正しいことを実現するためには少しも揺るがず、私たちが心を悩まし、不安定な気持ちであろうとも、お不動様の強い心と身体で救って下さいます。
お不動様の両脇には二童子が従っており、向かって右側が矜羯羅童子(こんがらどうじ)、向かって左側が制多迦童子(せいたかどうじ)です。
不動明王のご真言
ノウマク サンマンダ バザラダン サンダン マカロシャダ ソワタヤウンタラタ カンマン
矜羯羅童子のご真言
オン ダラマ コンガラ チシュタサラ
制多迦童子のご真言
オン ゲルマ セイタカ ウンパッタナン
ご縁日:毎月28日
薬師如来
木 造
本堂内のお厨子の中に安置されている仏様。
薬師如来様は我々が生きている世界を見守って下さり、いかなる肉体的な病気や精神的な苦しみに悩む者でも、一度この尊号を聞く者は一切の病苦を消除して身心安楽になると言い、諸仏の中でも特に現世利益を司る仏様であり、時代を超えて老若男女に広く信仰される仏様です。
光明普照・随意成弁・施無尽物・安立大乗・具戒清浄・諸根具足・除病安楽・転女得仏・安立正見・苦悩解脱・飽食安楽・美衣満足という十二の大願をたて、
衆生のさまざまな苦の救済を願われております。
お薬師様は、「バイジャグル(医者の中の長)」の意訳で、別名「医王(いおう)如来」とも言います。
薬師如来のご真言
オン コロコロ センダリマトウギ ソワカ
ご縁日:毎月8日
正観音菩薩
石 造
観音様は、世の中の出来事(音)をよく観ていて下さるということから「観世音」とも言います。また、観ているだけでなく、困っている人々を救って下さる仏様ですので「観自在」とも言います。
また、観音様はお母さんのような大きな慈悲を持った仏様故に、その多くは女性のようなお姿で表されますが、人々を救うために最もふさわしい姿で現れるので、同じ観音様でも、千手観音様や、如意輪観音様など大勢のお姿(化身)のお仲間がいて、いつでも、どこでも常に我々を見守って下さっています。
当山の観音様は、左手に蓮を持った「正観音(しょうかんのん)」様です。
観音様の功徳を説いたお経と言えば『観音経』で、その中に観音様のお力によって避けられる十二の災難が説かれていますが、ふりかかる災難から我々を救うためにわざわざこの世に現れて、救い続けて下さる仏様です。
また、最も馴染みのあるお経の『般若心経』は、観音様のお経です。このお経の終わりにある、「ギャテイギャテイ ハラギャテイ ハラソウギャテイ ボウジソワカ」を唱えるだけでも、心が静まって、観音様が助けて下さることでしょう。
正観音菩薩のご真言
オン アロリキャ ソワカ
ご縁日:毎月18日
地蔵菩薩
石 造
お地蔵様は、サンスクリット名の「クシティガルパ(地の尊)」を意訳して「地蔵菩薩」と呼ばれております。
お地蔵様はまさに修行している比丘(僧侶)のお姿であり、あらゆる場所におもむいて困っている人々に救いの手を差し伸べて下さります。故に「水子地蔵」「子育地蔵」「延命地蔵」など数えきれないほど多くの名前がつけられ、また、昔ばなしでも「田植え地蔵」や「傘地蔵」などが語り継がれるほど、私たちの生活になじみ深い仏様として親しまれております。
当寺も15体の石仏のお地蔵様がおられます。中でも6体のお地蔵様が横一列に並んでいますが、このお地蔵様の総称を「六地蔵尊」と言います。
六地蔵様は、「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天上」の6つの世界をそれぞれ担当して、その世界にいる人々を救い続けて下さいます。この6つの世界を「六道」と言いますが、この六道の世界を私たちは行き来しています。我々の世界は「人間界」ですが、普段生活しているとつい怒りや愚痴、妬みなどを起こしてしまいます。人の言動に惑わされて「地獄に落ちろ!」、「このクソ餓鬼が!」、「畜生め!」などと言った感情を起こせば、その人もその世界に落ちてしまいます。このような感情を起こし苦しんでいる者を救って下さるのがお地蔵様です。
地蔵菩薩のご真言
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ
ご縁日:毎月24日
聖宝理源大師
木 造
真言宗醍醐派のお祖師様。
天長9年(西暦832年)讃岐の塩飽諸島の本島(現在の香川県丸亀市本島正覚院)に御誕生、承和14年(西暦847年)16歳の時、真雅僧正の室に入り得度・出家されました。
峰中修行で感得された大きな祈りの世界と無量壽法を通して得た修法の世界。この二つは聖宝様の祈りの世界に於いて大切なことです。
聖宝様は、神変大菩薩が山岳で修行してきた祈りの世界を、密教の祈りと結び付けて、いわゆる山伏、修験道の祈りの形態を再興された僧侶です。 (醍醐寺HPより抜粋)
ご縁日:毎月6日
挐吉尼天・稲荷神
秘 仏
【挐吉尼天】
拏吉尼天は、手には玉と剣を持ち、白狐に乗った美しい天女の姿をしております。
もとはインドの「ダーキニー」と言う鬼神であり、ジャッカルに乗った姿ですが、日本に伝わり神仏と習合する際、日本にはジャッカルが存在していなかったため、良く似た白狐が代用されました。そして、その狐はお稲荷さんの従属(使者)であるため、稲荷大明神と結びついた信仰が広まりました。
しかしながら本来の拏吉尼天は、先にも述べた通り、インドでは人の生き胆を喰う鬼神であったため、後に大黒天に導かれて護法善神となるのですが、改心して密教に取り入れられてからも半裸行の鬼神の姿で表わされます。
しかし、日本での拏吉尼天は、稲荷大明神と結びつけられたため、狐が美女に化けるというイメージからきていると思われますが、弁財天や吉祥天のような美しい天女形で描かれることが多いようです。
当寺の拏吉尼天も白狐に乗った天女形であり、創建当初(江戸時代)から現存しており、秘仏として稲荷社の中に安置しております。
拏吉尼天のご真言
オン キリカク ソワカ
ご縁日:毎月22日 午の日
【稲荷大明神】
お稲荷さんの正式名称は、「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」と言います。
「稲荷」とは、「稲がなる」という意味があり、もとは稲作・農業の神様として信仰されていましたが、今では商売繁昌、厄除けなど生活全般にご利益がある神様として信仰されています。
当寺の稲荷大明神は、創建当初(江戸時代)から現存しており、秘仏として稲荷社の中に安置しております。
稲荷大明神を参拝する時は「南無稲荷大明神(なむ いなり だいみょうじん)」とお唱えください。
ご縁日:毎月22日 午の日
宇賀弁財天
秘 仏
弁天様は、琵琶を持った天女のお姿が一般的ですが、当寺の弁天様は正しくは「宇賀弁財天(うがべんざいてん)」と言い、体は蛇で頭は老人のお姿をしておられます。これは弁財天と宇賀神が習合した姿です。
弁天様のご利益と言えば、琵琶を持っていることからして音楽の神様であり、通じては技芸上達、学業成就の仏様として有名ですが、他にも縁結び、恋愛成就、立身出世などがあります。
また、仏教に取り入れられる前は、インドでは水の神であり、蛇を従属(使者)としていますので、「蛇神」や「龍神」とも言われており、豊穣、金運財運の神様でもあります。
宇賀弁財天のご真言
オン ウガヤ ジャヤ ギャラベイ ソワカ
ご縁日:巳の日
金毘羅大権現
秘 仏
金毘羅(こんぴら)様は、サンスクリット名の「クンビーラ」を音訳した呼び方で、もとはインドのガンジス河に棲むワニを神格化した、ヒンズー教の水神です。
後に仏教に取り入れられ、仏法守護神の薬師十二神将の一つ、「宮毘羅夜叉大将(または金毘羅童子)」となりました。
そして、「権現(ごんげん)」とは、仏教の仏様が日本の神様として仮に姿を変えて現れた呼び名で、金毘羅大権現様のお姿は、不動明王と修験道の開祖である神変大菩薩・役行者(えんのぎょうじゃ)に似ていると言われております。
金毘羅様は、特に海の神であることから旅の安全を守る神として、その他では農業の神、医薬の神、技芸の神として知られています。
金毘羅大権現を参拝する時は「南無金毘羅大権現(なむ こんぴら だいごんげん)」とお唱えください。
ご縁日:毎月10日